公開日:2025年4月
「老後の年金、正社員とフリーランスでどれくらい差があるの?」
「ネイリストってフリーの人が多いけど、将来の備えって大丈夫なの?」
ネイル業界ではフリーランスや業務委託として働く人が増えてきましたが、
見落とされがちなのが“老後の年金格差”です。
この記事では、厚生年金と国民年金の具体的な金額の違いから、
老後にもらえる年金額の差、そして今からできる対策まで、ネイリスト目線で徹底解説します。
過去の記事とあわせて読めば、より働き方を選ぶヒントになります:
インボイス制度で“脱フリーランス”が加速?ネイリストの働き方に変化
1. 年金制度の基本をまず理解しよう
日本の公的年金制度は、2階建ての構造になっています:
- 1階部分:国民年金(基礎年金)
- 2階部分:厚生年金(正社員・会社員が対象)
つまり、フリーランスや業務委託は国民年金のみ。
正社員やサロン勤務のネイリストは国民年金+厚生年金です。
2. フリーランスと正社員の年金額シミュレーション
フリーランス(国民年金のみ)
- 2025年度の満額支給額:約月額66,000円
- 年間792,000円
- 40年間支払っても上記金額が限界
正社員(厚生年金+国民年金)
- 平均的な給与25万円〜30万円でシミュレーション
- 年金額:約月額14万〜17万円
- 年間:約168万円〜204万円
年金差額のまとめ(月・年・老後トータル)
- 月額差:約8〜10万円
- 年間差:約100万円以上
- 老後30年生きた場合の差:約3,000万円以上
この差は非常に大きく、“自力でカバーしないといけない金額”だと理解しましょう。
3. ネイリストの働き方別|年金の現実
【自宅サロン・個人事業主】
国民年金のみ。年金額が低いため、自助努力(貯金・iDeCo等)が重要。
【業務委託ネイリスト】
実態はほぼ正社員でも、厚生年金に加入できないことが多い。将来的にリスク。
【正社員ネイリスト】
給与から自動的に年金が引かれるため、将来のベースが安定しやすい。
4. 年金格差を埋めるために今からできる対策
① iDeCo(個人型確定拠出年金)
国民年金しかない人向けにおすすめ。
月23,000円まで積み立て可能で、全額所得控除対象。老後資金形成の基本。
② 国民年金基金
自営業者が加入できる年金制度。
公的年金に上乗せして支給される。掛金は月額68,000円まで(iDeCoとの併用可)。
③ 小規模企業共済
廃業や引退時に“退職金”として受け取れる制度。
掛金は全額所得控除。老後資金にプラスできる。
④ 定期的な「働き方の見直し」
ライフステージの変化に応じて、
正社員やパートに切り替えることも1つの選択肢。
5. ネイリストが年金だけで暮らすのは難しい?
国民年金だけの生活は、極めて厳しいのが現実です:
- 月66,000円では家賃・光熱費でほぼ消える
- 医療費・介護・食費は年金外から支払う必要
- 働けなくなった時に備えがないと非常に危険
逆に、厚生年金があると“生活の最低ライン”が安定します。
6. 老後を安心して迎えるための「働き方」チェックリスト
- 自分は今どの年金に加入しているか知っている?
- 老後に必要な生活費はいくらか?
- 現役時代に年金以外の収入源を作れているか?
- 厚生年金がないなら、代替制度に加入しているか?
- 60歳以降も働く意志・体力・準備があるか?
この5つのチェックで、不安の原因が見えてきます。
7. 将来も長くネイリストを続けるために
ネイルは技術職なので、年齢を重ねても続けやすい職種です。
しかし、“技術があっても、体力や収入不安で離職する人”が後を絶ちません。
今から準備しておけば、
- 60代・70代も「好きな仕事を続けながら」暮らす
- 経済的に自立して人生を楽しむ
そんな未来も夢ではありません。
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まとめ|「自由な働き方」には「責任と備え」が必要
正社員とフリーランスでは、老後の年金額に生涯で3000万円以上の差が出るケースもあります。
それでもフリーランスという自由な働き方を選ぶなら、
- 自助努力による資産形成
- 制度のフル活用(iDeCo・共済・年金基金)
- 定期的な見直しと対話
この3つが重要になります。
「今さえよければいい」ではなく、
「未来の自分を大切にする働き方」を一緒に考えていきましょう。