公開日:2025年4月

2023年10月にスタートした「インボイス制度」は、フリーランスネイリストの働き方に大きな変化をもたらしています。

「取引先に登録を求められた」
「免税事業者のままでは契約できない」
「税金や確定申告が不安でフリーを辞めた」

実際、制度施行後には
“フリーランス離れ”=「脱・業務委託」や「正社員転向」の動きが顕著になってきました。

この記事では、制度の概要からフリーランスへの影響、今後の選択肢と対策までを、プロの視点から徹底解説します。

インボイス制度とは?ざっくりおさらい

インボイス制度

インボイス制度

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除を受けるために必要な「適格請求書(インボイス)」を発行する仕組みです。

登録していない事業者(免税事業者)は、インボイスを発行できないため、
「取引先から敬遠される」可能性が出てきます。

詳細は別記事でも解説しています:
個人ネイリストは損する?インボイス制度の本当の影響と対策まとめ

なぜフリーランスのネイリストに影響が大きいの?

  • ネイリストの多くが「業務委託契約」で働いている
  • 免税事業者が多く、インボイス非対応になっている
  • サロン側が仕入税額控除できず、取引コストが上がる
  • その結果「登録してない人には発注しづらい」構造に

こうした背景から、登録しない=契約継続が難しくなるという現象が業界で進行中です。

“脱フリーランス”が加速している理由とは?

1. 登録しないと契約が減る

インボイス非対応だと、法人サロンや企業との契約を敬遠されやすくなります。

2. 納税・帳簿管理が負担に

登録すれば消費税の納税義務が発生し、
帳簿管理・確定申告・会計処理の負担が増えます。

3. 金銭面のデメリット

消費税10%分を価格に上乗せできないまま登録すると、実質減収(手取りダウン)となるリスクも。

4. 安定志向への回帰

コロナ禍で不安定さを経験した影響もあり、
「正社員になりたい」「福利厚生が欲しい」と考える人が増えています。

実際に起きている働き方の変化

  • フリーランス→パート・社員への転向
  • 業務委託から法人化して自社運営に
  • 副業・自宅サロンへのシフト(低リスク化)

特に地方エリアや中小規模のサロンでは、
「免税事業者は契約できません」という流れが増えています。

ネイリストの3大選択肢(2025年版)

① フリーランス継続+インボイス登録

  • 取引を安定させたい人向け
  • 記帳・納税・価格転嫁の準備が必要
  • 【こんな人に向く】:本業として独立している人

② 登録せず“免税のまま”+価格見直し

  • 自宅ネイル・知人顧客メインの人向け
  • 価格設定で消費税相当を吸収
  • 【こんな人に向く】:月商30万未満・副業ネイリスト

③ フリー卒業→社員・サロン勤務へ

  • 税務リスクや収入の波を避けたい人向け
  • 福利厚生・固定給・労災・産休などが充実
  • 【こんな人に向く】:安定志向・育児との両立など

制度をきっかけに「働き方を見直す」人が増加

ネイル女性

インボイス制度は、フリーランスを制限するための制度ではありません。

ただし、

  • 「働き方の責任」を明確にする
  • 「契約形態を見直す」きっかけになる
  • 「独立=自由」ではなく「自由=自己責任」になる

そんな制度的な背景が、「脱フリーランス」という行動に繋がっているのです。

迷っているならどうする?5つの具体策

  1. まずは登録の有無を判断(する/しない)
  2. 税理士や会計ソフトでサポート体制を整える
  3. 価格設定を見直す(消費税込みか、外税か)
  4. 仕事の契約先を分散する(法人・個人・紹介)
  5. キャリアとしての選択肢を整理する

将来のために知っておきたいリンク集

まとめ|ネイル業界は「自由かつ責任ある選択」の時代へ

インボイス制度は、多くのネイリストに「働き方の見直し」を促しました。

脱フリーランスはネガティブではなく、“自分らしい働き方を再設計するチャンス”でもあります。

制度に振り回されるのではなく、制度を味方につけて、
ネイルをもっと楽しみながら、長く続けられる働き方を一緒に探していきましょう。